なぜ塗装をはがす？ - 短小（ほうけい） (男性)

2021/04/13 (Tue) 15:24:12

ROM専の皆さんへ

塗装は剥がすな。



オークションのジャンクパーツなどを見ていると、ボディーを再塗装しようと思ったのか、途中まで剥がし、そこで挫折して、結局ジャンクになったボディーが出品されていることがあります。

ほとんどはジャンク。というか、ガラクタにしてしまったというのが正解でしょうか。


なぜ塗装を剝がそうと思うのか。意味が分かりません。
（血気盛んな若者が、女子の裸を見たいという、その気持ちは理解できます。おじさんは今でも同じ気持ちですから）


リフィニッシュという言葉がありますが、元の美しい杢を活かし、色だけ変えたい、極薄ラッカー仕上げにしたいというなら理解できますが、


数万円のギターの塗装を剥がしたところで、

スクラッチのスピードくじじゃあるまいし、ハズレしか出ませんよ(笑)

剥がしてみてがっかりすることのほうが多いはず。
だって、杢目を活かせないから、塗りつぶされているのですから。

最近では印刷もありますからね。これを剥がしたら「非常に残念」な木材が現れるはずです。



まず、剥がす方法に問題があります。
・剥離剤を使うと、剥がした後は、薬剤が残留しないように、本来、水や重曹で洗い流すなどの工程が必要。
　薬剤が残留していると、新たに乗せた塗装が縮んだり、はがれたりのトラブルになりますし、水分が残っていれば曇りの原因にもなります。
・かといって、ウレタン塗装など、アイロンで温めながらへらで少しずつ剥がす方法もありますが、素材に傷をつけないように剥がすのは１００％無理。レスポール系のカーリーメイプルなんて０．５ｍｍ以下の薄い板が貼ってあるだけ。ささくれや、割れ、欠けが発生すれば、修正せざるを得ず、結局汚くなるだけです。
・黙々とサンドペーパーで削る方法もありますが、労力の割に報われず、途中で「俺、なんでこんなことやっているんだろう・・・」と思うはず。シェイプが変わってしまったり、平面が出ません。どうしても削りのムラが出ます。すると、削りすぎたところに合わせるため、他を削ることになります。


結論　

色を変えたい程度なら、上から塗っちゃいなさい。残念な木肌が現れるより、はるかにましじゃないですか？
塗装が分厚くなるのが嫌だって？？？
そんなことを気にしなきゃいけないほどの銘木は使われていませんよ。

また、木材を塗装し、鏡面に仕上げるには、下地処理や、適切な塗料を選んだり、根気と、何より熟練を要します。
せっかく導管がふさがれ、平滑な面ができているのですから、そこを剥がして、あえてデコボコにする必要がありますか？？？


それより、
・塗装を安定的に定着させるため、足付けという作業を念入りに、丁寧に行う
・油脂を丁寧に取り除き、静電防止をしっかり行う
・磨きを慎重に、丁寧に行う

といったことを心がけてやってみてください。

塗装中、虫がダイブした、乾く前に触ってしまい指紋をつけてしまった、磨いていたら下地が出てきてしまった、
などの失敗は誰でもあります。気に入らなかったら塗りなおせばいいじゃないですか。

仕上がりに影響しますから、剥がした下地を整えるのがまた大変な作業。
剥がさないほうがきれいに仕上がります。塗装をすべて剥がす必要なんて全くありません。
意味が分かりません。

将来リペアマンやクラフトマンを嘱望していたとしても、この記事で取り上げたような塗装剥がしの経験は、ほとんど役に立ちません！

塗装のお話
短小拝